「ココシル札幌」は観光スポットやレストラン、ホテル、公共交通機関、観光客を対象としたイベントなどの情報を提供するモバイルアプリケーションです。
このアプリケーションは、地理空間位置情報認識システムにより、現在地近くで必要とする情報をタイムリーに得ることができるだけでなく、アプリケーションの地図上のアイコンを押すことで更に詳しい情報を得ることができます。
また、地図上で「この場所に行く」ボタンを押下すると、Google Map上で目的地までのナビゲーションサービスが利用できます。このアプリケーションでは情報が自動で多言語に翻訳されるため、モバイル端末上の言語設定を変更することで、ユーザーが希望する言語で利用することが可能です。
上述の、オープンデータを活用して観光やスポーツイベント、都市に関する情報を提供するシステムは、以下のステップを経て構築されました。
- インターネットの地図サービス上に、観光やスポーツイベントに係る情報の位置データを追加する
- ulD2.0プラットフォーム上に収集された観光情報やスポーツイベント情報を商業ビジネス用に提供する
- ulD2.0プラットフォーム上に収集された観光情報やスポーツイベント情報を住民や行政機関に提供するための機能を構築する
- 建物や地下道に設置されたビーコン(発信機)により集められた位置情報をモバイル端末上のアプリケーションに配信し、ユーザーに対して店舗情報や商品情報などを提供するための機能及び基盤を構築する
- 情報を自動で多言語翻訳する

「さっぽろ雪まつりガイド」は、来訪者に対してイベント情報を提供するためのモバイルアプリケーションの1つです。
さっぽろ雪まつりは毎年2月に開催され、約300万人もの来訪者が集まるイベントです。アプリケーションを通じて、雪像や売店、公衆トイレ、ツアーバス待合場所など、イベントに関連した情報を配信することができます。
また、2017年2月に開催される2017冬季アジア札幌大会に向けて、競技日程や会場、ルール、会場設備、交通情報などを提供するアプリケーションを開発しています。
システムのアーキテクチャ
オープンデータポータルサイトをCKANとMicrosoft Azure上に構築することにより、アプリケーションの開発者がオープンデータを利用することが可能となります。また、開発者は、総務省によって定められたAPIや情報処理推進機構によって定義されたプログラミング言語などを含む開発標準ツールを使用することができます。
オープンデータを活用したモバイルアプリケーションは、YRPユビキタスネットワーキング研究所のココシルulD2.0プラットフォーム上で実装しています。
仕組みとしては、都市内の案内表記に設置されたBluetoothLE(BLE)の電波でucodeと呼ばれる識別番号を発信するビーコン(ココシルマーカ―)が、モバイル端末上の「ココシル」に位置情報としてucodeを発信します。次に、モバイル端末上の「ココシル」から、ucodeシステムと関連情報との結び付けを行うuID2.0プラットフォームに取得したucodeを発信することで、 uID2.0プラットフォームからモバイル端末上の「ココシル」に対して、その場所に関連する情報を配信する仕組みとなります。
また、この仕組みにより、現在地が室内か室外かなどの情報も入手できるため、「ココシル」のユーザーの位置情報がGPSよりも正確に把握することができます。「ココシル」によって提供される情報は、マイクロソフトの翻訳機能(Microsoft Translator)によって自動で多言語に翻訳されます。

システム概要
オープンデータを活用して観光やスポーツイベント、都市に関する情報を提供するシステムは、以下のような優れた機能があります。
観光客向けのアプリケーションでは、POI(Point of Interest:関心地点)に係る情報が重要となります。POIの情報には、関心地点の名称や説明、位置情報(緯度・経度)が含まれます。

以下は札幌の大通公園をPOI情報として、システム上で表したものです。
BLEビーコンでは、位置探知技術を使用しています。大通公園や札幌駅の地下ショッピングエリアなど、札幌市内の案内標識や設備にBLEビーコンを取り付けました。
図4は設置例、図5は札幌駅内に取り付けられた全てのBLEビーコンの設置位置を表しています。


プラットフォームの統合
Microsoft Azure上でのulD2.0 プラットフォームの構築は、CPaaS.ioのプラットフォームの完成に向けた基礎となります。また、札幌のオープンデータやBLE端末の情報の格納及びデータの結び付け用に、MongoDBが使用されています。
API
このシステムのAPIは、総務省が定めた「情報流通連携基盤システム外部仕様書」に基づいているため、APIを通じていかなるユーザーでも全てのオープンデータを取得することができます。
詳しくは、http://docs-sapporo.odcity.org/を参照してください。